ぐーチョコランタン制作ノート
初期のキャラクターデザインラフ 1998
部屋の中のデザインラフ 1999
 実は、ぐーチョコランタンのスプーは他のキャラクターよりも1年早く制作されました。(株)キャラクターライセンスシステムに作家登録して間のなく、その会社に(株)NHKエデュケーショナルから「NHK おかあさんといっしょ」のメインキャラクターデザインのプレゼンの仕事が入り、私が受ける事になりました。
 (株)NHKエデュケーショナルからは、子供たちと一緒に触れあう着ぐるみキャラクターという要望だけで、ほぼ自由にデザインさせて頂く事が出来ました。私の発想は、見た目にフカフカしていて、子供たちが抱きつきたくなるキャラクターで、決して子供たちを裏切らない優しい天使の様な存在です。(現在、番組の中でスプーが子供たちに抱きつかれている。)。テーマが決まり、5〜6種類のデザインを提出した結果、私がプレゼンを通り本格的にデザインする事になりました。
 今回のキャラクターデザインの難しさは人間が着る着ぐるみだという点です。通常のキャラクターデザインと違い、ただ紙面上で好きにデザインしただけでは着て操演する人間の形状と合わず、体が大きくなりすぎたり、重たくなってしまい、動いたり踊ったりする事が大変になります。さらに今回はキャラクターが子供という設定なので、子供に見える様に頭と体のバランスの取り方にも苦労しました。デザイン画はその様な理由から、キャラクター画の上に人間のデッサンを重ねて機能に配慮したり、配色を変えたりして数多く描いたと思います。
 ぐーチョコランタンが始まる一年前にスプーとガタラット(操り人形)のコーナーが番組の中にあり、ガタラットに関しても多数のデザインをしています。私がキャラクターデザインを進める上で心掛けている事は、1つのデザインにこだわらず、出来る限り柔軟に思考してあらゆる方向から多数のアイデアを出し、それについての様々な意見を参考に自分が見えていなかった視点に気付く事です。これはどうかなと思っていたキャラクターが、視点を変えてデザインの一部に少しだけ修正を加えただけで、見違えるほど素敵なキャラクターに変貌した例もあります。
 スプーの完成後、チョコランタンの3人(アネム、ズズ、ジャコビ)のキャラクターデザインに取り掛かりました。着ぐるみキャラクターが4人になるので少しでも個性を出す為に、全体的に身長が高くならない方向で個々のキャラクターに合わせて身長差を付けたいと思いました。しかし、これがなかなか大変で、着ぐるみを大きくする事よりも身長を低くする方が難題でした。それは着ている人間の身長の問題もありますが、キャラクターの身長を低くすればするほど着ている人間の視界の確保が難しく、肩の位置の関係から手足も動かしにくくなります。よく、アニメキャラクターなどが着ぐるみになり、よちよちと歩いている所を見かけますが、そういう意味で苦労しているのが分かります。
 最後に、キャラクターと並行してデザインした世界観にあたるセットデザインについて触れますが、ある意味、キャラクターデザイン以上に重要かもしれません。というのも世界観に魅力があれば、おのずと良いキャラクターが生まれてくるのは当然だと思うからです。チョコランタンは丸みがあって可愛い、とても魅力的な世界に仕上がったと思います。